ニュージーランド向けの鬼瓦の製作が始まりました。
テーマは『海を渡る静岡の鬼板師』とでも言いましょうか、静岡の鬼瓦が海を渡ります。
製作するのは、弊社鬼師、原川圭介(29) ”海外の仕事なので、いつもよりか気合が入る”と言っている。
彼は若い時から鬼瓦に興味があり、この世界に飛び込んだ。3年前に先代である師匠が他界しから1人になってしまったが、型にはまらない独自の想像力で現在も鬼瓦の製作に取り組んでいる。
今若くて安定のない職人を目指すのは珍しいと思う。やはりサラリーマンにはない魅力が何処かにあるだろうか。
彼はよく言っている。日本に生まれたから、日本のものづくりを伝承するために創る。
ただ作り、屋根の上に乗る、自分の作った鬼瓦があそこの屋根に乗った。有名な寺で使用された、これがやりがい、などとよく聞くが、これでは、自己満足の世界だ。
新しい世代に伝えていかなくては、その代の自己満足で終わってしまう。日本のものづくりの文化を伝承して行く事がやりがいであり、文化といえるのではないだろうか。
一般的に機械での大量生産で安い商品が当たり前になってしまたこの時代、建築業界敬遠されがちな手で作る効率の悪い本物のものづくりを、いかに伝承し行くかが、今日本が抱える大きな問題だと思う。
このままだと今の日本の住宅は、工場生産した建物しか残らない。
それで日本は良いのだろうか、今回のプロジェクトのように、日本でも素晴らしい建物を海外までもって行き、建築、日本の伝統を伝承する。
かなか粋なお施主様であり職人としても嬉しい。
日本で伝統的な住宅を建てる人が少なくなって行く事は、伝統的な仕事が無くなり、職人の技術や文化が衰退してしまう事だと彼は言っている。
鬼瓦は9月までには完成させなくては、なりません。なぜならコンテナ発送が到着を考えると積み込みが9月頃だからです。
今回のプロジェクトで使用する鬼瓦は、2種類、鬼面タイプ(獣面)と、数珠付きの家紋タイプです。
主に隅棟と化粧棟、で使用する家紋鬼は、姉妹都市である三島市の市章、を入れ、お施主様の丸に下がり藤を鳥休みに入れます。
そして大棟に使用する鬼面には鳥休みに下がり藤、正面の大棟部分にニュープリマスのマークを入れる構想です。